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巨人V9戦士、又一人逝く

原巨人がV3を決めた明くる朝、まるで其の優勝を見届けるかのように一人のV9戦士がそっと息を引き取った、やせ衰え顔相もすっかり変った、往年の名セカンド土井正三氏だった。

私が最後に土井氏を見たのは、巨人軍通算5000勝記念イベントの一環として行われたV9ユニフォーム復刻シリーズ初日のV9戦士勢揃い始球式の際で、頬がげっそり痩せこけ、精悍だった現役時代の面影が全く見られず、かつ歩行もおぼつかない車椅子姿で参列、膵臓がんの術後だった。

土井氏は巨人軍の煌びやかな王や長嶋のようなスター選手ではなく、いわゆる超二流選手、それ程目だった成績も残してはいないが、V9戦士と言う事、下記の重盗プレイ、イチロー問題、この3つにより、永遠に球史に残る。

1969年の日本シリーズ(巨人対阪急)第4戦の4回裏、無死1・3塁でダブルスチールが敢行され、阪急の捕手岡村浩二から二塁手山口富士雄を経て再び送球を受けた岡村は本塁突入を図った三塁走者土井を完全にブロックしたように見えたが、球審岡田功はセーフの判定を下した。

この判定を信じられず激昂した岡村は同球審に暴力を振るい、日本シリーズ史上初にして、2009年現在でも唯一となる退場処分を受けた。

翌10月31日付の各新聞で土井が、ブロックする岡村の股の間からホームを踏んでいる写真を掲載したことから、土井の走塁技術と審判の的確さが賞賛された。

土井氏がオリックスの監督を務めていた93年まで、「鈴木一朗」には試合経験を積ませようと、主に2軍でプレーさせた。

同年末に仰木彬氏が新監督となり、94年には登録名「イチロー」で日本プロ野球記録の210安打を放ち、その後は15年以上、日米で大活躍。その経緯もあり、巨人のV9に大きく貢献した名内野手だった土井氏に、「イチローという才能を見いだせなかった」とのイメージが付きまとうことになった。

しかし、当事者の大リーガーはこの見方を否定した。

「そうじゃないのにねえ…」

淡々と、そして残念そうに話し、改めて感謝の気持ちを短い言葉で示した。

土井氏はイチローの実力を評価しなかったわけではなかった。

1年目の7月には1軍昇格させ、2年目には開幕戦で先発メンバーに名前を書き込んでいた。

2軍降格は経験を積ませるための試練だと指揮官は信じていて、翌年レギュラーに抜擢すると、関係者には語っていたが、急遽解任になり、イチローの開花を見ず、オリックスを去った。

前に読んだ雑誌の記事で面白かったのが、立教OBの有力者が、土井氏の巨人入りを長嶋氏に頼み、気のいい長嶋氏は観てもいない土井氏を正力氏に推挙、トップダウンで土井氏を入団させたが、驚いたのは六大学でもぱっとしない選手だった、当の本人。

六大学通産打率245、本塁打ゼロ、足、肩共に人並みで、とても通用するなど本人とて考えていなかったが、憧れのプロの世界、それも尊敬する長嶋の居る巨人軍なので飛び込んでいったそうだ。

明けて翌年キャンプ、二軍スタートの土井氏の様子が当時のヘッドコーチ牧野氏に入った。

期待された守備では、肩は弱く遊撃から山なりのスローイング、深い位置からはノーバンで届かない、足も大して速くも無く、最も悲惨だったのは、フリーバッテイング、二軍ピッチャー相手に外野にも飛ばない非力さ、

絶望的だ、入団は何かの間違いでは?との余りの酷い二軍コーチの報告に、何故か胸騒ぎがした牧野はわざわざ視察に赴いた。

其の時、牧野が目にしたのは、報告以上に非力な土井正三、後で牧野は「プロの中に中学生が紛れ込んできたかのような情景だった」と回顧している。

ただここがメジャーの名門,ドジャースのシンキングベースボールを真っ先に取り入れた智将の一味違う所、話してみると土井は実に賢く、何でも飲み込みが早い、そこで牧野はフリーバッテイングでは箸にも棒にも掛からない土井に、毎晩徹底的にドジャース戦法を叩き込んだ。

いよいよキャンプ中盤、実戦形式のシート打撃になると、土井は生き残りををかけ、死に物狂いで、右打ち、バント、エンドラン等でランナーを進め、塁に出ては常にピッチャーに揺さぶりを掛け、走っては併殺防ぎの殺人スライデイイング、貪欲に次の塁を狙う走塁で首脳陣を唸らせた。

キャンプ終盤、あまりに肩の弱い土井をセカンドにコンバートし、牧野は辛抱強く使い続け、後のV9時代は二番セカンドの不動の地位を築かせる。

長くなりましたが、土井氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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