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祗園今昔 坊や物語 7

なんやかんやでノートを本格的に付け出し、まともな情報帳として仕上がったのは半年以上かかった3月くらいで、お客様の顔と名前がぼちぼち一致しだした頃でした。

ぱっとお客様の名前が出てくる、そうなるとしめた物で、こっちが覚えると言う事は、お客さんも認知しだすという事で、何気ない儀礼的な会話から一歩踏み込んだ会話になり、格段に情報の質が深く、豊かにそしてリアリテイーの高い物になります。

ただインターネットと同じで、情報が揃っても今度はそれを精査し、どれが正しく本当に必要なのか実践しないといけません。

先ずはお客さんへの対応を、先手、先手と進めていきました。

一例を挙げると、お客さんが来ると、ホステスさんがお客さんに「何を飲みます?」って聞くや否やのタイミングで、さっとビールを出します。

煙草なんかは常備しておいて「マルボローのロング買ってきてよ」(当時は珍しかった)って言われたら即座に棚から出して持って行きます。

おつまみも可能な限りお客さんの好みを用意しました。

当然、最初は失敗も多かったですが(遣り過ぎるとホステスさんに怒られる)概ねお客さんには好評で、その内、情報ノートのお陰で、飛躍的にお客様への準備や対応もそつが無くなり、黒服の先輩からも頼りにされ出し、徐々に歩合制のプロホスさんからやっと認めて貰える様になってきました。

よくしたもので「間に合う」「使える」と判断するとホステスさんが、急に僕を可愛がりだし、自分の手下にするべく囲い込みに入ります。

それまではバックに居て表には出なかったのですが、店でもトップクラスの売れっ子ホステスさんが自分の下子(したこ)に囲う為、お客さんをうまく使って僕を表へ引っ張り出し始めます。

馴染みのお客さんの中には当然、同志社の先輩もおられますが、そこを上手く利用して

「ねえ、くろちゃん、貴方の学校の可愛い後輩が、裏でバイトしているんやけど一杯飲ましてやってよ!」

その辺りを熟知した常連客は使われてるのを承知で上手くのせられ

「ママ~、ちょっと俺の後輩、隠してんと挨拶来させてよ、いいでしょう~?」

お店で一番誰が偉いのか!そりゃ常連の上客です。

ママは少しまずいな~と思いながらも大学二回生と嘘をついて働いている私にミッションを出します。

「適当に挨拶して、一杯呼ばれたら丁寧にお礼を言ってさっさと帰ってきなさい!」

「いらっしゃいませ!こんばんわ~、いつもご来店有難う御座います。
商学部2回生の近藤賢士と言います。
お客様のお名前だけはよく存じ上げています。それでは一杯よばれます!」

「お~君か、頑張ってるらしいな、よし是でラーメンでも食え!」

ってな感じで、初めてのチップを頂きます。

昔の旦那衆は粋なもんで、常にポケットに小銭(千円~二千円)の入ったポチ袋を4っつや五つは持っていたもんです。

そのポチ袋を有り難くおし抱き、薄い水割りを一気にぐいって煽って、そそくさと裏に逃げかえりました、是が18の春、僕のフロアー初デビューでした。

そして是が水商売からなかなか抜け出せなくなる甘いトラップの始まりでした。
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